話数単位で選ぶ、2023年TVアニメ10選

今年もギリギリ更新!

その年のアニメの総括「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」。ルールは以下の通り。

2022年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。

また個人的なレギュレーションとして、昨年同様『配信のみ・2024年以降にTV放送予定の配信作品』『モーションアクターを使ったバラエティ』『実写テレビドラマとアニメを組み合わせた作品』からは選出せず。

集計は今年も「aninado」さん。

以下、選出エピソードとコメント。順不同・敬称略で表記。


1『UniteUp!』第7話「向き合わなくちゃ」

脚本:加藤穂乃伽 絵コンテ・演出:倉田綾子 総作画監督:野々下いおり 作画監督:野々下いおり、山口智田中光輝、井戸田あかね、田中裕介、河合拓也、モリタユーシ、村井夏織、Limeros、吉永剛、倉田綾子、アゼータ・ピクチャーズ tofu、齋花、等々力美穂、渡辺一平

生真面目な千紘と口下手で不器用な父のすれ違い。

『UniteUp!』のPROTOSTARのエピソードはキャラクターの心情に寄り添うような温かさと純粋さが好きだ。千紘は明良と万里に支えられ父と正面に向き合っていく…。

本編の内省的な表現とナメを使った奥行きのあるレイアウトも素晴らしいが、特殊エンディング映像のフレームのアイデアがあまりに見事。親子の話にあまりにも弱い…。

 

2『神達に拾われた男2』EP.09「エリアリアと新しい仲間たち」

脚本:山田由香 絵コンテ・演出・作画監督・原画:柳瀬雄之 総作画監督:出口花穂

柳瀬雄之監督作名物といってもいいだろう、監督自身による1人絵コンテ演出作画監督原画回。

ほっこりする学園生活にアップ・ロングショットのメリハリ、漫符かんたん作画、恒例のアイキャッチのアドリブ等「らしさ」が溢れる暖かいフィルム。これがいいのだ。

 

3『青のオーケストラ』第2話「秋音律子

脚本:柿原優子 絵コンテ・演出:前田薫平 作画監督:森田和明、篠田美咲、中野友貴

「秋音律子」の真っ直ぐさ・前向きさ・そしてヴァイオリンへの思いに影響を受け、自らの気持ちに気づく。サブタイトルに名前を冠されるのも納得のエピソード。そしてなんといってもかわいい、かわいい…。

河川敷での青野のカノンの演奏、音の良さはもちろん映像演出・モノローグの上手さ・余韻の良さと総合力の高さに感服。「手びねり組」のこれからの活躍も楽しみだ。

 

4BIRDIE WING -Golf Girls' Story-』#18「偽りとの決別」

脚本:黒田洋介 絵コンテ・演出:辻橋綾佳 総作画監督:高橋晃 作画監督:高橋晃、遠藤香 アクション作監:菊池晃 プロップ作監:平岡雅樹 レイアウト監修:益田賢治

イヴと裏ゴルフの決別のための精算の一戦。裏ゴルフなんぞくだらないと言わんばかりに一蹴する短期決戦を、本作12話や他のBNP作品でも鋭い切れ味をみせている俊英・辻橋綾佳による演出が盛り上がりを加速させる。

因縁の相手・カトリーヌの激しすぎるリアクションが楽しい。なんなのォあれはァ!?

「私にさせろ!本物のゴルフをさせろ!」

ラストカット、カトリーヌと裏ゴルフ界を撃ち抜くイヴのショットと超強烈なハーモニー。鬼の形相の貴乃花を思い起こさせる凄まじさがたまらない…!

 

5『スキップとローファー』第6話「シトシトチカチカ」

脚本:米内山陽子 絵コンテ:篠原俊哉 演出:平向智子 総作画監督:梅下麻奈未 作画監督:天野和子、小島明日香、田中未来、中山みゆき、斉藤和也、岩崎亮

青い温度の正体が恋だとしたら…。

美津未と志摩の梅雨空の人間模様から晴れた茜色の恋模様へのカタルシス進学校の生徒ゆえ(?)の精神年齢の高さがもたらす互いの気の使いかたが空模様の解像度を上げ、より強い余韻を生んでいたのが印象的。

みつみの「ごめんね、至らず」が良い。一言のセリフで感じる黒沢ともよのパワー!

 

6天国大魔境』#10「壁の町」

脚本:窪山阿佐子 絵コンテ・演出:五十嵐海 作画監督:竹内哲也

常に「話の転換点」を担当してきた五十嵐海による、オムニバス性のあるエピソード。

アニメーションの快楽に身を委ねるには少々後味の悪さがあるエピソードだが、それ故に引き立つ演出の力強さに圧倒される。

 

7『山田くんとLv999の恋をする』Lv.13「朝 起きたら」

脚本:中西やすひろ 絵コンテ:川野麻美、浅香守生 演出:川野麻美 総作画監督:濱田邦彦 作画監督:竹内杏子、唐澤雄一、村上史明、宗崎暢芳、宮前真一 作画監督補佐:齊藤格

「話数単位」で選出するにあたって最終話を、それもラブコメディの積み重ねのピークにあたるエピソードを選出することを大いに悩んだ。

いやしかし、茜の勢い任せの問いかけに対する山田の返答の瞬間は間違いなく2023年の最大風速。おもわず黄色い叫び声を止められなかった。山田!!!!!

 

8『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』#7「今日のライブが終わっても

脚本:綾奈ゆにこ 絵コンテ・演出:梅津朋美 CGディレクター:遠藤求、宮田拓実 作画監督:茶之原拓也、依田祐輔

「なんで『春日影』やったの!?」でお馴染み。

ライブ前の楽屋パート、FIXの画面を切り替え定点カメラ風にし画面内にメンバー全員を収めバラバラのメンバーを鋭利に描かれていくのが印象的。からの”女”たちの感情が入り乱れるライブパートは圧巻の一言。

3話・10話と合わせてセルルック3DCGアニメのエポックメイキングになるであろうエピソード。

痺れるぜ、この顔…。

 

9『柚木さんちの四兄弟。』第6話「宇多、恋の行方」

脚色・絵コンテ・演出:川崎芳樹 総作画監督:田中織枝 作画監督:川村敏江、西川絵奈

「どうして今と違ってないといけないんだろう、なんで同じじゃいけないんだろう。」 

宇多のデートを通して揺れ動く湊の気持ち。不安が募り泣き叫ぶ湊にあわせ挿入される実写フイルム風景カットの浮遊感と、融和する宇多と湊を照らす晴れ間のカタルシスの清々しさ。『柚木さんち』はどこまでも真っ直ぐなアニメなんだ。

 

10『川越ボーイズ・シング』menu9「いつかのアイムソーリー」

脚本:川越学園文芸部 絵コンテ・演出・作画監督・原画:武内宣之

別れの時は突然に、と言わんばかりの突如現れた嵐のようなエピソード。

止め・アオリを駆使した緊張感のあるレイアウト、暗い照明と眩しいステージライト、そしてITくんとのままならない別れ。カオスなギャグだった前回との温度差で間違いなく風邪をひく。しかし、輪るピングドラム9話もとい武内宣之ファンとしても飛び上がるほどの特大サプライズ。「話数単位」の醍醐味を感じるエピソードだ。

 


以上。

また次点として候補にあったエピソードとして、

■『お兄ちゃんはおしまい!」#02「まひろと女の子の日」(兄妹(姉妹?)の箱庭感)

薬屋のひとりごと』#04「恫喝」(ちな&もああんの突き詰めた日常芝居)

■『英雄教室』第2話「ソフィ」(中野英明の帰還)

『好きな子がめがねを忘れた』Episode 9「好きな子と校外学習に行った」

■『でこぼこ魔女の親子事情』#06「薔薇園のおしりあい事情」

『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』第3話「無口な姫と騎士と武士」

 

他にも2023年のアニメシーンを統べた『冰剣の魔術師が世界を統べる』、中村憲由監督のパワフルさが光った『転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~』、奇才・いまざきいつき監督の濃縮エッセンス『人間不信の冒険者たちが世界を救うようです』、大陸からの強力な刺客『攻略うぉんてっど!~異世界救います!?~』などからも候補があったが選びきれず。2023年の充実のアニメライフだった。

 

来年も頑張ってアニメ観るよ~