話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選

今年一年のアニメの総括「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」。ルールは以下の通り。

 ルール

2020年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。

関連サイト:aninado「話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選」参加サイト一覧

順不同で掲載。一部敬称略表記。一部本編のネタバレを含む。


■『22/7』#7「ハッピー☆ジェット☆コースター」

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脚本/大西雄仁 絵コンテ・演出/森大貴 総作画監督/まじろ 作画監督/三井麻未、田川裕子、川村幸祐、木藤貴之、りお、凌空凛、飯野雄大 カラオケ監修/竹内哲也

戸田ジュンの過去と未来を鋭い演出で交互に描く、さながらジェットコースターのようなエピソード。

影と空を使い描いたジュンの背景が特に印象に残った。

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ひときわ目を引いた幼少期のジュンの回想。ハイコントラストな青い空と人物に落ちる濃い影色は病を患っていて友人が居なかったジュンの孤独や不安を感じさせる。

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そんなジュンに「人生は遊園地」という教訓を与える松永悠。ここでも影と空(飛行機雲)の演出は健在だ。

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悠を亡くし夕日の中泣き明かすジュン。夕日と夜景の逆光に影を背負ったジュンの背中は青空でできた影より孤独に感じた。f:id:p_e_sf1:20201231225903j:plain

怖いくらいに深い青空と病院で見上げた飛行機雲を追いかけるジュン。その走る背中を押してくれるのは悠に違いない。

 

■『邪神ちゃんドロップキック’』第八話

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脚本/村上桃子 絵コンテ・演出/角地拓大 作画監督/北原章雄、岡野力也、島袋智和、山田雄一郎、平田かほる

邪神ちゃんと花園ゆりねの明文化をせず雰囲気ややり取りで見せる仲の良さが好きだ。そんなふたりの関係をハートフルに描いた8話を選出した。

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極端なほどに人が少ない神保町周辺の街並み

夏を感じさせる青みがかったカラー。前述した『22/7』第7話ほどヴィヴィッドな青色ではないが、ミノスとメデューサが魔界に帰り人間界に残された邪神ちゃんの孤独感が伝わるグレーディング。

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虫歯菌悪魔のコスプレで邪神ちゃんをさり気なく励ますゆりね。邪神ちゃんのクズムーブと手先の器用さは両津勘吉を彷彿とさせる。 

アニメ『邪神ちゃんドロップキック』は原作の複数のエピソードを巧みに組み合わせ構成されるが、第2期8話ではその構成の妙を特に感じさせるエピソードだった。*1

 

■『アイカツオンパレード!』第25話「光る未来へ」

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脚本/柿原優子 絵コンテ・演出/安藤尚也 作画監督/宮谷里沙、山本脩斗、岩崎成希、渡部里美

アイカツ!』シリーズの集大成『アイカツオンパレード!』の最終エピソードとして、『アイカツ!』「アイカツスターズ!』『アイカツフレンズ!』それぞれの要素を過不足なく満たし、姫石らきの物語の結末も誠実に締め上げた天晴な最終回だった。

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大空・・・

 

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ココちゃんの想いが報われた、それだけで十分だ・・・。

 

■『ミュークルドリーミー』第28話「まいらマイラブ♡」

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脚本/金杉弘子 絵コンテ/桜井弘明 演出/石田美由紀 作画監督/大木良一、坂本哲也、古木舞 ぬいぐるみ作画監督/古木舞

『ミュークルドリーミー』は桜井弘明監督らしい超ハイテンポコメディだ。それは「母との死別」という重い題材を扱った「まいらマイラブ♡」でも変わることはない。

今エピソードは母の死をドラマチックに描くわけでなく、過去の悲しみを乗り越えたり吹っ切ったりするわけでもなく、ただただ月島まいらという少女が持ってる想いを”いつものミュークルドリーミー”のトーンで描く。墓参りやまいらパパのクヨクヨを直接的に描写することはせず悲しいシーンを徹底して排したのはスタッフの強い信念を感じさせる場面であった。

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明るく話す月島親子から伝わるのは、生きていくという事の圧倒的なリアリズムだ。

過去に悲しいことがあっても現実を生きていく、悲しむことは大切だけど前を向いて生きていくしかない。これは普段(過去のエピソード)のまいらの振る舞いからも感じることができる。

そんな中でも、夢の中では自分たちが忘れない限りまた会えるし、その夢に背中を押されて新しい笑顔を作っていくことができる。少しだけ夢の中でなら休んでもいい・・・というミュークルドリーミーらしい最高の解答を出した。

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「ドリーミーメイト」はその名の通り「夢のお供」だ

夢ってええな、会いたい人にまた会えるもんな

夢を見ながら流した一粒の涙は嬉しさからか悲しさからか、視聴者に判断を委ねるところまで完璧だ。

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これは月(島まいら)にかわってお仕置きすることこ先輩

■『ちはやふる3』第二十三首「わたるふなびとかぢをたえ」

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脚本/柿原優子 絵コンテ/竹内浩志 演出/山城智恵、北川朋哉 演出協力/松村政輝 総作画監督/濱田邦彦、今村大樹 作画監督/北尾勝、阿部純子、岡郁美、Yu Seung-Hee、Park Myong-hwan、Lee Kwan-Woo、Kim Bong-Duck

 ”感じ”悪いから聞こえね―よ

真島太一・・・。

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太一・・・・・・・・・・・・。

 

■『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第11話「みんなの夢、私の夢」

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脚本/平林佐和子 絵コンテ・演出/伊礼えり 総作画監督/横田拓己、冨岡寛、渡邊敬介 作画監督/市原圭子、伊礼えり、尾尻進矢、北島勇樹、木村文香、鐘文山、舘崎大、冨吉幸希、山内尚樹 作画監督補佐/粕川みゆき、三沢聖矢

シナリオ・演出ともにトップクラスと言ってもいい出来であったアニメ『ニジガク』からは、劇的な展開と新進気鋭の演出家のキレのある心象表現に唸らされた11話を選出。

上原歩夢の感情の爆発までの導火線を丸々1話使い描いた。

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華やかに進行していく同好会の活動とは裏腹に鬱積していく上原歩夢の感情。全体を見せるため、感情を鋭角に見せるための広角レイアウトが印象的。

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標識による暗喩も面白い。侑の迷いを表す指定方向外進行禁止、終盤の展開に繋がる歩夢の感情を表す歩行者信号と非常口表示が象徴的に光る。 

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話題となった終盤、歩夢が侑に問い詰めるシーン。

歩夢の爆発した感情をカメラブレで表現、その感情を侑に投げつけ受け止める様をブレのないPANワークで表現されている。さながら暴走気味のピッチャーの球を捕球する名キャッチャー。

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歩夢の独占欲を表現するアイデアも見事。これがニッポンの𝑺𝒆𝒙・・・。

 

■『アサルトリリィ BOUQUET』第5話「ヒスイカズラ

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脚本/佐伯昭志 絵コンテ・演出/長原圭太 総作画監督/潮月一也、崎本さゆり、常盤健太 作画監督/高野晃久、佐藤隼也、秋葉徹 

エンディングアニメーションディレクター/長原圭太

『アサルトリリィ BOUQUET』は久々の新房昭之監督がタッチしないシャフト制作のTVシリーズであるが、随所に「シャフトリスペクト」を感じる演出が見られた。

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繋ぎに挿入される明度の高い色使いのカット
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夢結様がラムネを購入しにいくシーン。徹底してモブ(駄菓子屋店主)を映さず、ノスタルジックな雰囲気は往年のシャフトを感じさせた。

夢結様の不器用さが良い。シルトの梨璃のためにわざわざ山梨までラムネを買いに行ったり、そのラムネを小さい子どもに譲ってしまったり、梨璃を潰さんばかりの力で抱きしめたり。5話にして牙が削られすぎだろ・・・。

 

■『遊☆戯☆王SEVENS』第14話「ロミン’sキッチン」

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脚本/山口宏 コンテ・演出/いまざきいつき 演出助手/ジロー 総作画監督/福島勇 作画監督/長尾浩生

攻めたレイアウトから始まった14話はデュエルをしない箸休め回。霧島ロミンの可愛さをこれでもかと詰め込んだ欲張りセット。

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包丁を人に向けても米袋ごと炊飯器に入れてもゲテモノみたいな色のカレーを食べることを強要しても許される。かわいい女の子は生きているだけで偉いので・・・。

遊戯王の過去シリーズに関しては寡聞にして知らない為、毎回新鮮な気持ちで視聴させてもらっている。演出もハジケていながら無駄のないシナリオも楽しく今後の展開も楽しみだ。

 

■『イエスタデイをうたって』scene 06「ユズハラという女」

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脚本/田中仁 絵コンテ/田中雄一 演出/藤原佳幸、金成旻 総作画監督/吉川真帆

作画監督/藤原奈津子、渥美智也、小林恵祐、久保茉莉子、曾我篤史、ZEXCS 松本翔吾 寿門堂 菊永千里、海保仁美、上野沙弥佳、乘冨梓

きっとあたし、ノーミソどっか欠落してるんだよ。

サブタイトル通り、主人公リクオの元カノ・柚原チカと他2人のヒロイン(失礼)の魅力が詰まったエピソード。

ユズハラ役、喜多村英梨のアンニュイな演技と全編に及ぶ細かい生活芝居が光る。2000年代初頭の閉塞的でノスタルジックな雰囲気が魅力の本作だが中でもこのエピソードが最もエモーショナルなフィルムに仕上がっていると感じた。

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今期一タバコが似合う女・・・

 

■『キラッとプリ☆チャン』第132話「おしゃまトリックス!ついにライブデビュー!?ッチュ!」

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脚本/金杉弘子 絵コンテ/牛嶋新一郎 ストーリーボード/Jeon Byung Cheol、Nam Sung Min 演出/米田光宏 アニメーション演出/Jeon Byung Cheol  作画監修/斉藤里枝、川島尚、青木康哲、宮崎輝、島田さとし プリ☆チャンライブ演出/安藤尚也、川瀬まさお

年末に飛び込んできた特大サプライズ。『プリチャン』視聴者がみな待ちに待っていたであろうおしゃまトリックスライブデビュー回。

おしゃまトリックスはイタズラ配信を行うプリチャンアイドル。歌やダンスはてんでダメで「おじゃま」などど間違われることも。そんな彼女たちでもライブデビューできたのはプリチャンライブは難しいものでなく「簡単」であるという間口の広さ故だろう。「女の子たちのデビューのお膳立てをするのは私たちの役目」というめが姉ぇのセリフも素敵だ。

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比較的簡素な振り付けで、同じフリでも性格の差が出ているのが良かった

一方、桃山ひかりが「プロデューサーとして輝く」人として描かれていたのも良かった。これは今回選出した『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』に通ずるものがあり、『プリチャン』も今後ライブを「支える側」のエピソードを描くのか期待が高まる。

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いや、でも妹山もできればプリチャンデビューしてくれ・・・。 

 


以上

また、他に候補として挙げていたエピソードとして

■『ARP Backstage Pass』第7話「Fantasista」

■『SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!』第6話「ヒロメネス」

■『放課後ていぼう日誌』れぽーと07「穴釣り」 

■『アクダマドライブ』#12「アクダマドライブ」

■『NOBLESSE -ノブレス-』#7「気になるあの娘は貴族様/Unforgettable」

■『ヒーリングっど♥プリキュア』第8話「とべないちゆ!?陸上大会 大ピンチ!」

  第34話「わたしがライバル!?ちゆの求めたツバサ」

他にもアベレージが高かった『恋する小惑星』『推しが武道館言ったら死ぬ』『波よ聞いてくれ』『グレイプニル』『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』、韓国・ウェブトゥーンからの刺客『ゴッド・オブ・ハイスクール』『神之塔』、一世を風靡した『GIBIATE』なども候補にあったことを記しておく。

 

来年も頑張ってアニメ観るよ~。

*1:詳しくは原作をチェック!